さあ!ユーザー車検をやってみましょう!

実はこの企画、前回のような解説記事だけでなく、筆者の妻の車が実際に車検が近づいて来ていたので、(2017年4月中旬が本当に車検期限!)その実践をしながら、結果を読者の皆様にお知らせする「実践」型の記事で、リアルにお伝えしようと考えたものです。

執筆時にはもう車検も終了、過去に戻って順を追いながら「ユーザー車検」を体感できるように書いてまいりますので、お付き合いください。

ユーザー車検をした車のスペック

ユーザー車検妻のスペックを知らせると、袋たたきに合うのでしませんが、その愛車のスペックをここでお伝えすると、

「平成14年式 MRワゴン 走行距離車検時10万kmジャスト!」 

なんと13年落ち、タイミングチェーン車種のMRワゴンとはいえ、なかなかの過走行のこの車を普通の人は、前検査方式であるユーザー車検で済まそうとは思いません。

ただし、そこは筆者も元整備士、購入時の2年前の時点で次回車検に通過するかしないか、リフトアップまでさせて、ある程度のあたりをつけて購入しています。

そして、必要不可欠なメンテナンスなどもある程度2年の間にやってきているので、今回この古い車体でも「ユーザー車検で安上がりに済ます」という判断をしました。

はっきりとしないのは、光軸のずれとトーイン(注)、排気ガスのチェックぐらいのものですが、光軸とトーインはユーザー車検を受ける「軽自動車検査協会」の周りにそれを有料ながらすぐに調整してくれるところがいくつもあるので問題なし。

マフラーが破れていない限り排ガスチェックに引っかかることは、ほぼあり得ないのでこれでユーザー受けちゃいます。

トーイン・・・「toe(足指先)」が「in(入り込んでいる)」という意味の専門用語。自働車はその直進性を高めるために、前輪の左右が「ハの字」状態になるように設計され調整できるようになっている。ただし、経年によってそれがずれ直進性が保たれていないと、車検にパスしない決まりになっていて、その検査は「サイドスリップ検査」とも呼ばれる。

ダミーで車検見積もりをするといい

筆者の場合前項でもいったように、ある程度見立てて中古車を購入しましたが、読者の皆さんの場合はそうもいかないと思うので、1ついい手をまずお教えしておきます。

それが、ディーラーやカー用品店、中古車屋さんなどで実際に車検の見積もりをすることです。

その時必ず、「絶対に交換と車検に通らない部品」を聞くようにしましょう。

必須車検整備項目の真実

この時、自賠責保険や印紙代それに自動車重量税といった諸経費+車検手数料や光軸とトーイン調整だけの見積もりが出たら、ユーザー車検で車検代の節約ができること確定です。

ただし、時に「これをしないと車検に通せない」と業者側が指摘することがありますが、いくつか「ホントとウソ」が織り交ざっているので、主なものを紹介しておきます。

  • オイル関係を変えないと車検が通らない・・・「ウソ」、車検通検だけなら何ら問題なしで、金額の張るミッションオイルを変えないと車検に通らないなんてたわごとを言っているところは半ば悪徳ともいえます。
  • タイヤがすり減っているから通らない・・・「半分ホント」、スリップラインが出ていて検査員がそれを目視で発見、実測されるとアウトの可能性もある。
  • ブレーキパットが減っているから通らない・・・「ウソ」、分解しないと正確な厚みはわからないはずなのでそれはしていないはず、またもし減っていても車検場でのブレーキ検査は問題なくクリアする。
  • オイル漏れがあるから直さないと通らない・・・「ウソ」、にじむ程度や数滴程度のオイル漏れ通検だけならでは全く問題なし、流れるように漏れている車は通検しないがそんな車は危ないので車検どころか乗ってちゃダメ。
  • ドライブシャフト内外、タイロットエンドなどブーツ類が破れているので通らない・・・「ホント」、これは交換しないと車検に絶対っに通らない代表選手。
  • ストップランプが切れてるから通らない・・・「ホント」、その他ライト類もヘッドライトやウインカーは当然ですが、車内灯や運転席前方のパネルのランプに至るまですべてついてないとダメ。

判別が困難なときはあきらめたほうがいいかも

正直なところ、筆者が今回ユーザー車検に持ち込んだような過走行で古い車体は、この他にもいろいろと指摘が来るはず。

主なものにはマフラーからの微細な排気漏れや、ショックアブソーバーからのオイル漏れなどがありますが、基本的には「エンジン」そのものに対する指摘は「ウソ」で、足回りやマフラー、それに安全に走行できるためのフロントガラスへの飛び石による傷や、違法改造などへの指摘は「ホント」と考えるべきです。

実際に今回、筆者もわかり切ってはいましたが某大手カー用品チェーン会社に車検の見積もりを依頼したところ、必須項目とおすすめ項目に分けられた見積もりの合計はなんと13万円超。

「買い換えたほうがいいのでは?」という指摘から、中古車も扱っている旨のセールストークを展開されました。

とりあえず、「考えます」とその場を立ち去り、帰宅後細かくチェックして車体と突き合わせたところ、指摘されていたオイル漏れはありましたが、酷いレベルではなかったので今回はスルー。

破れている可能性がある、と指摘されたブーツ類も汚れているだけで無事、そのままの状態でユーザー車検の持ち込めることがわかりました。

ただ、素人にそのホントとウソを見極める事と、実際の安全走行への影響を判断するのは難しい、古い車のユーザー車検は「賭け」の要素が増える上、安全な車両の走行を損なうなので、筆者はあまりおすすめしません。

事故などを起こしていないことを前提としますが、初回車検ならまったく整備しなくても99%ユーザーで一発合格できますし、2回目の5年目でも特別走行距離が長かったり、車体に極度なダメージがある以外、上記以外に「交換しないと車検に通過しない」という項目を伝えられても、そうですかと言って帰って構いません。

だってそれはウソ、というよりこのディーラーや車屋さんが言う「車検に通らない」は、法律で定められた車検場の検査基準ではなく、「自社の基準では車検に通せない」という意味。

そういった意味ではウソではないかもしれませんが、ユーザー車検にパスしないということになれば「ウソ」でしかありませんので、気にせず見積もりをもらって次の準備に取り掛かりましょう。

準備するものや事柄

・書類等

今回実践しているのは軽自動車なので、その場合の準備を説明していきますが、普通車のユーザー車検ついても、ほとんどその手順に変わりありません。

まずは車検証、これは大体の方が車に常備しているはずなので問題なし、自賠責保険証書についても同様でしょう。

あと必要なのは、認めで構わないので印鑑と、自動車税の納税証明書となりますが、納税証明書は紛失したり、どこにしまったかわからなくなっていることがあります。

でも、納税さえしていれば軽自動車の場合は、車検証の使用者の住所を管轄する役所に行けば「手数料なし」ですぐに再発行してくれます。

普通車の場合は役所に行く必要もなく、陸運局に設置されている端末を操作すれば、これまた簡単に再発行することが可能です。

また、ユーザー車検では自賠責の更新手続きや、数枚の書類の購入と記載を自分でしなければいけませんが、これは陸運局並びに検査協会に行けば更新・入手可能なので、事前に準備する必要はありません。

お金はいくら用意すべき?

筆者の場合は、もう光軸とトーイン検査以外はパスすることがわかっていたので、

自賠責保険・・・26,370円
重量税・・・8200円
検査手数料・・・1,400円

の合計である、最低車検費用35,970円に万が一光軸やトーインが引っ掛かったと時の費用とお昼代程度を見越して、4万円を妻に準備させました。

一方普通車の場合、上記の最低車検費用の金額が、

1t以下の小型車・・・45,940円
1~1,5t・・・54,140円
1,5~2t・・・62,440円
2t以上・・・70,640円~

と、その大きさや排気量によって変わってきますので、ネットなどで確認しお金を余裕をもって用意しておきましょう。

まとめ

ユーザー車検への備えをしたところでいざ出陣、と行きたいところですがここでお時間が来てしまいました。

実際に、陸運局や検査協会の車検場で検査を受けた経験のある方はそれほど多くなく、ここまで見てきてもまだ不安で、やっぱり業者にお願いしたほうが…と思われる方もおられるはず。

そこで次回、実際に車検場でユーザー車検を進める手順や、気を付けてほしいことなどを詳しく「実践編パート2」としてお届けしたいと思います。