時速50kmを超える速度で縦横無尽に張り巡らされた道路を走る車。
信号に交差点、対向車や歩行者などなど数限りないものが行きかう以上、いくら注意していても起こってしまうのが交通事故です。
ガードレールや電柱、民家の壁など物に当たるときや対自動車さらに歩行者を巻き込むこともあり、時には大きな損害を被るときや加害者の立場になってしまうことも。
それを保証するためにあるのが自動車保険ですが、これにはいくつかの種類が存在します。
目次
必須!自賠責保険
まず、自動車を公道で走らせるうえでどなたも必ず入る義務があるのが自賠責保険です。
新車登録時、あるいはそれ以降の継続車検の時に1車両に1つ必ずこの自賠責保険はかけられていることが確認され、入っていない車両は車検を絶対に受けることができません。
この自賠責保険は車検期間と車種で定額となっていますが、あくまで対人しかも自分以外の第三者に対する「賠償」に対してのみの補償でその内容は、
- 傷害による損害・・・最大120万円
- 後遺症を伴う損害・・・要常時介護4,000万円、要随時介護3,000万円、第1級障害3,000万円など
- 死亡による損害・・・最大3,000万円
となっています。
自賠責保険に入っていないとどうなる…
自賠責保険は、車検時に必ず入らなければならないことから「強制保険」などと呼ばれていますが、補償内容や車の危険性を考えるとその必要性は非常に高いもの。
自賠責に入るタイミングはほとんどがこの車検時なので、車検切れの車をそのまま乗り回す場合、この自賠責保険も併せて切れていることが考えられます。
それが何かしらの理由で発覚すると、「1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金」が科せられたうえ、「違反点数6点」も併せて課せられるので一発で免許停止です。
その必要性の高さから設定されているこの重い処分ですが、それよりなにより事故をもし起こしたとき被害者に支払うはずの、上記で説明した事故の程度に応じた補償金が全く受けられません。
さらに、この後説明する任意保険でいくら「対人無制限」のものに加入していても、
「任意保険はあくまで自賠責保険の不足分を補うもの」
という自動車保険の大前提があるため、加入した任意保険からも補償金を受け取ることができません。
もし、万が一の話ですが事故を起こして尊い命が奪われた時、その遺族に支払う損害賠償金をねん出することができず、被害者はもちろんですが加害者の立場である方の人生も大きく狂わせる結果となってしまいます。
自賠責保険の掛け金は?
実は2017年4月、この自賠責保険の掛け金が9年ぶりに「引き下げ」改定されることになり、
- 自家用普通自動車 【36ヶ月】36,780円、【24ヶ月】25,830円・・・約7,2%の引き下げ
- 自家用軽自動車 【36ヶ月】35,610円、【24ヶ月】25,070円・・・約4,9%の引き下げ
となります。(2017年2月現在までの決定事項による)
普通車を例に挙げるなら、1ヶ月当たり約1,076円程度「強制保険」なんて呼ばずにこのぐらいで一定の補償をしてくれる制度を、ありがたく思わなければならないのかもしれません。
任意保険とは
次に自賠責保険ではカバーできない高額になってくる対人損害賠償、並びに運転者や同乗者などへの補償などを盛り込んでいるのが、民間損害保険会社などが商品を展開している自動車保険で、「強制保険」に対して「任意保険」と呼ばれているものです。
任意保険の必要性
自賠責で補償されているから、任意保険には加入しなくても大丈夫!は「大間違い」と、筆者は声を大きくして訴えます。
悪いことばかり例に挙げるのは心苦しいところですが、いつ自分に降りかかるか分からないのが交通事故。
筆者を含めて、すべてのドライバーにその可能性があることなのでお伝えすると、
1、一家の支柱40代男性、子供1人妻一人、年収500万円の一般サラリーマン
2、学業に励んでいた女子高校生16歳
を、もし交差点ではね死亡させたとすると、その賠償金の相場は1の場合で約8,000万円、2のケースでは約6,500万円といわれています。
遺族の立場に立てば、決して金額によって左右するような問題ではありませんが実際に支払いの義務が生じる以上、もしもに備えておかねばなりません。
そして、この保証金もしくは慰謝料の相場は年々上がってきていて、自賠責で設定されている最大3,000万円の賠償金補償では、まず間違いなく足りない状態になります。
自分を守るためにも必要
前述した最悪のケース以外、けがや後遺症に伴う補償金や慰謝料の相場も上がってきておりとても自賠責の補償範囲では賄いきれなくなっています。
また忘れてはいけないのが、自賠責保険はあくまで対人、しかも被害者に対してしか保証してくれないこと。
つまり、車との事故で自分がけがをしたときの治療費や仕事を休んだ期間の給料補償、さらに事故相手車の損傷、他人の家壁を破壊してしまった時などの弁償金は全く自賠責からの補償はなく、事故によってかかってくる損害や費用を補完できるものではありません。
事故で働けなくなったり、相手の車を大きく損傷させその責任が自分の方側に大きい場合、それらが家計に与えるダメージは計り知れないものになりますし、もし家族を養う立場なら家族全体の生活を圧迫することになります。
今や1家に1台の時代は終わり、成人1人に1台になることもそう遠い将来ではないかもしれないほど、自動車は今や欠かせない存在。
それに伴って街中には以前より多くの車が走り回り、歩行者はもちろん自転車やバイクなどの軽車両もそれに絡んで、複雑な車社会を形成しています。
そのため、車が様々な人やモノを傷つける「凶器」になってしまう可能性もある交通事故は、どんなに安全運転に努めても起こってしまうことです
。
任意保険は、自賠責保険のように「強制」されたものではなく、特に若い世代の方は経済的理由や面倒な手続きを嫌い加入しないまま運転していることもあります。
しかし事故の相手と自分、さらにその周りにいる大切な存在を守るために「必ず入っておくベき物」と考えていた方が賢明でしょう。
若気の至りといっては何ですが…
ここまで任意保険の必要性を熱く訴えたのは、何も損害保険会社の「回し者」なわけでも何でもなく、筆者自身がこの任意保険に入っていなかったためにとても痛い思いをした経験があるからです。
実はまだ10代のころ単独ですが激しく道路わきのガードレールにぶつかったことがあるのですが車は大破、廃車しかないほどのダメージを受けてしまいました。
その時もったいないからと任意保険に加入していなかったため、車の修理や次期車両の購入費用を補償してもらえるわけもなく、さらに破損したガードレールの修理費用確か十数万円だったと思いますが、これも親に肩代わりしてもらった覚えがあります。
まだ購入して1年足らず、もう無い車のローンを払うのは苦痛でしたし、けがをしたのですがその治療費も当然支給されず、親にも大変迷惑をかけ数年非常につらい思いをしました。
たまたま相手がいなくて最悪の事態にはならなかったのですが、もし相手がいて大けがなんかをさせていたらと思うと今でも寒気がします。
この時の経験から、それ以降は必ず任意保険に加入するようにしていますし、家族や友人そして読者の皆さんにもそれを強く薦めるようにしています。
まとめ
最後は自身の過去をさらすことになりましたが、自動車保険の必要性を訴えるためにあえてエピソードとして紹介しました。
しかし、任意保険を扱う業者はたくさんあり補償内容も様々で、自分のカーライフに合った商品を選ぶのは大変です。
そこで次回、今回説明したその必要性に加え世代や性別、車両の用途や家族構成などなどそれぞれカーライフごと、用意されているプランや補償内容、特約などを突き詰めて、任意保険の適切な選択に役立つ「アドバイス」をしてみたいと思います。