中古車を購入した時でも売却する際でもそこには現金などの授受に合わせて契約書や注文書が取り交わされれ、それをもってどちらも契約の完了ということになります。
正直書類に署名捺印した後のキャンセルは原則不可能で、その旨がしっかり書類に記載されていることがほとんどなのでここを論点にするならもう話は終わってしまいます。
一部病気や急な遠方などへの転勤で購入が難しくなった場合のみキャンセル料を20%ほどとって応じている店舗もありますが、それ以外、売却の場合は特にキャンセル不可能と考えたほうがいいでしょう。
ただし、条件が整い売り手や買い手が万全の準備と知識を持って臨めば絶対にそれを覆せないという訳ではなく実際に解約違約金やキャンセル料を一切払わずに見事キャンセルできることもないわけではないので、いくつかそこに触れていくことにします。
目次
キャンセルを申し入れたタイミングが重要です
キャンセルを思い立つタイミングはそれぞれでそのタイミングが早ければ早いほど穏便にキャンセルができる可能性が高くなっていきますが、順を追ってそのタイミングを4つに分けると、
1、注文書並びに売却契約書に署名捺印する前
2、契約書記入直後
3、登録が完了する前
4、納車前
となります。
正式に堂々とキャンセルを求められるタイミング
1の場合は相手がいくら渋っても正式にキャンセルをすることができますが、購入の場合「手付金」などを払ってその車体が売れないよう手配をしてもらっていた場合その手付金はその中古車店の判断にもよりますが返ってこないことが多いのがほとんどです。
一方売却の場合はいくら見積もりを丁寧にしてもらっていても、契約書に署名捺印する前ならキャンセルは完全に可能です。
キャンセルは可能なときもあるけれど…
2の段階以降はかなりそのキャンセル実行は困難になり、仮にキャンセルに応じてくれたとしても購入の場合では
- 室内清掃業者への外注や板金塗装など販売に伴う車両の美化費用
- 車検登録に合わせた書類の作成や交換部品の購入と整備費用
- ネット媒体などから当該車両を除外したことによる不利益
などが違約金として請求されそれを支払う義務は発生します。
ここで商法に詳しい方ならクーリングオフのことを思いつくかもしれませんが、新車を含めた車の購入契約はこのクーリングオフの対象外になっているのです。
車の購入契約書が「注文書」となっていることがほとんどだと思いますが、この注文書を取り下げる行為は「撤回」ではなく、「解除」と解釈されているため、契約書を交わした後の無償キャンセルが非常に厳しいのが現実です。
売却の場合はさらに厳しい
特に売却の場合は書類記入時にその後のキャンセルには一切応じない旨、とことん念を押されることが多い(他社との比較を完全にガードするため)ので違約金などの発生しないキャンセルはほとんど無理といっても良いでしょう。
一部大手買取チェーンでは、契約成立後1日~2日程度のごくごく短い期間無償でのキャンセルに応じる旨約款や契約書に明記しているところもあります。
が、その説明はまず詳しくされないので、数日が経過したらたとえ現車がまだ売却への手続きや整備などが始まっていない状態でもキャンセルに応じてくれることは少ないので一刻も早い申し出が必要になります。
ただ、これも法律で規定されている事ではなくまだ車を引き渡していない時はもちろん、仮に引き渡していたとしても現車に対して転売のための手続きが進行していない手付かずの状態であればキャンセルを請求するのは売り手の権利でもあります。
ただし、相手もその車両を買い取るにあたりかなりの時間とセールストークを駆使している苦労を無駄にするのは本意ではないので、
・高額なキャンセル料の請求
・業務の妨害や詐欺などを主張
・法的措置をほのめかす
などあれやこれや駆け引きをしてくるので、素人にそれを交わしてキャンセルを勝ち取るのは困難ではあります。
が、毅然とした態度で消費者庁への訴えかけや売却契約時の説明不備などを根拠に向き合えば案外すんなりキャンセルに応じるところもあります。
ただし、すでに転売への手続きや店舗に並べるための西武などが進んでいる時にはそれなりの解約違約金を支払う必要は出てきますし、もしすでに次の転売先が確定している場合ではキャンセルをすることは格段に難しくなります。
3の前ならチャンスがないわけではない
3,4は購入の際だけのタイミングとなりますが、登録が終わっているということは既にその車は買い手のものになっているということで、それをはいはいとキャンセルするところはいないはずですし、それが納車の後なら言わずもがなです。
ただ、上記でも述べたように違約金を支払う覚悟があるなら登録の前であればキャンセルをすることも絶対に不可能なわけではありません。
業者が被ったと主張する被害に応じた適正価格の違約金を支払えばキャンセルに応じてくれる場合もあり、もし契約締結時にしっかりと署名捺印後のキャンセルはできないことの説明が曖昧だったことしっかりついていけば、まだ登録する前で何も車両に手を付けていないケースなら、無料でキャンセルに応じてくる良心的な店舗も皆無ではありません。
泣き落としが有効なときもある
基本買取専門店や大型中古車販売店は、接客マニュアルやキャンセル対応のための約款などの整備が進んでいるのでこれまで説明してきたように、契約書の締結以降のキャンセルには大変骨が折れ、ある程度あきらめる必要もタイミングによってはあります。
ただし、地元に密着し何世代にもわたって利用しているなじみの車屋さんや個人売買の場合では、どのタイミングでもキャンセルをすることも不可能ではありません。
最低限転売や納車にかかった実経費を確保できれば、これまでの付き合いや今後の顧客との関係性の悪化、地域での評判などを気にしてキャンセルに応じてくれるケースも少なくないのですが、今後同じ店舗で車を購入もしくは売却するときは必要以上に警戒される「要注意人物」ことになることは覚悟しなくてはいけません。
購入時に不具合があったときのキャンセル
売却では関係ありませんが、購入した車に重大な欠陥があったときはそれに対して異議を唱えキャンセルを要求するケースも出てきます。
しかし、新車はともかく中古車は現状渡しが基本なのでそれには応じない、もしくは一定の整備費用を請求してくる店舗も少なくありませんしそれば商売というものです。
これを防ぐにはきちんと「補償」のついている認定中古車などを購入するようにすることが必要です。
ただ、中古車業界を統括しその健全な運営を指導する日本中古車販売協会連合会の指針では、「走る、曲がる、止まる」という自動車の三大要素を満たさない中古車を陳列・販売しないという取り決めがあります。
ですので、それに当てはまる重大な欠陥が購入後間もない時期に発覚した時は、しっかりとした態度でキャンセル交渉をしましょう。
まとめ
中古車の売買に関わらず「契約」という行為には細心の注意を払わなければならず、大きなお金の動く車の取引ではその重要性が特に高いことが今回の記事でよくお分かりいただけたことと思います。
買取査定をして売却先を決めるときはその価格が他社と比べてどうなのか後で後悔しないようしっかり比較するのを怠らず、反対に購入するときはその店舗の定款や契約書の内容をじっくりと熟読し、理解できないところは質問・確認をした後契約を結ぶようにするとよいでしょう。