誰しも免許を取って初めての車を選び、それが納車された時の気持ちの高鳴りを経験したことがあるはずです。

またそれに伴って買い替えにタイミングで愛車の売却先の選択に悩んでしまう方も多いことでしょう。

良いお店との出会いがその売買をうまく上手に運ぶ一番の近道でそれを誤ると後々後悔することも多々出てきてしまいます。

業界に10年近く属していた経験から言わせていただくと、店構えがしっかりしていて並んでいる車も美しく保たれ、スタッフもみな清潔な制服を身につけ折り目正しい言葉使いをしているいわゆる「よいお店」には「よい中古車」があるのがやはり事実です。

また、そういった店舗は経営状況が良いところが多いので、買取査定の額も高い水準を維持していることも多いのが特徴です。

ただ、ここでそんな当たり前なことを述べても他のサイトと変化がないので、良いお店を選ぶためのちょっとしたテクニックをいくつか伝授しておきましょう。

販売ブースを持つ中古車店の場合

最近ではネット画面を使っての中古車販売も行われている中、一般的に車両展示をして販売している中古車店は現車をすぐに見られるという安心感があります。

展示車両がコロコロ変わる

中古車販売店道すがら多くの車を並べる中古車店をチェックしていると、一番目立つ場所に並んでいる車両が短いスパンで入れ替わっているお店は良いお店です。

単純によく売れている可能性もなくはないのですが、正直数日単位で何台も何台も車が売れる店舗はよほどの大規模チェーンでもない限りありませんが、なぜ短い期間で展示車両が入れ替わるのでしょうか。

実はこれ、早朝や夜間の時間を使って中古車店のスタッフが展示ブース内の在庫車両の位置を変えている、もしくは数店を展開している業者の場合はその店舗ごとの在庫を定期的に入れ替えているからです。

「なんだ、そんなことか」とおっしゃるなかれ、よく中古車店を冷やかしなどで訪れる方ならご存知かもしれませんが中古車店では基本的に限られた展示ブースを最大限に利用するために車両を間隔短く「びっちり」と詰めて展示しています。

このびっちりと詰められたブース内で多くの車両を入れ替えるのはまるでパズルのような動きと運転技術が必要なので、これをまめにやるのは非常に骨が折れます。

事実よく売れているということもあるでしょうが、自店舗の在庫のラインナップをまんべんなく手間を惜しまず短期間で入れ替えて、アピールする店舗はなかなか優秀な店と考えてよいと思います。

センサー反応スピード

筆者は中古車店に勤めていた時、自らのセールス能力の向上や中古車の管理方法の参考にするため、概ね車で2時間ほど離れた範囲で評判の高いライバル店を助手席にカーセンサーなどの雑誌を置いてダミーで見学に回っていましたが、この時必ずやっていたのが事前の来客予告の電話です。

実はほとんどの中古車販売店は少数精鋭が基本で、そうしないとランニングコストが高まってなかなか利益を確定することができません。

そしてそういった場合、セールス担当つまり買取や販売をするスタッフは煩雑な事務的仕事から整備までトータルに担当していることが多く、筆者の場合もそうでした。

すると常時販売ブースに待機する事が出来ないため、それほど多くない来客に対して待ち構えておくことが出来ないのが実際のところ。

そこで、他の作業をしているときに来客に気づけるよう販売ブースの入り口にセンサーを配置して、それが反応すると店舗中にアラームが鳴るようにしていることがほとんどです。

この来客アラームは防犯の意味合いもあることですが、販売ブースに入ってアラームが鳴っているはずなのになかなかセールスがやってこない時は、他の作業にかかりっきりで手が離せない状態であり通常業務を行っていると仕方のないことです。

ですが、事前の来店予告電話を受けているにもかかわらずそれに時間がかかっているのは、貴重な来客に対する対応がなっていないということが判明、私はこの時点で「見る価値」なしと判断しその店からは去るようにしていました。

エンジンを「スグに」かけさせてくれるか

アラームが鳴りいそいそと身支度をしながらでもセールスが飛んできたときはまず第一段階突破、続いてのチェックポイントは展示車両のエンジンがかかる状態になっているかどうかです。

展示車両は普段動いていないためまめにエンジンをかけておかないとバッテリーがすぐに上がり、来客の要請でとっさにエンジンをかけようとしてもかからないことが多くあります。

しかし、そうなるとその車両のエンジンの調子に疑問を持たれるためこれを防ぐためにこまめにエンジンをかけバッテリー上がりをしないようにする必要があります。

ただこれが意外に面倒、毎日すべての展示車両のエンジンをかける手間とそれに必要なガソリンの補充が必要です。

展示車両が多ければ多いほど時間を取られる作業ですが、これをまめにやっているところはいざ来客があったとき複数の車体にエンジンをかけてくれるよう要望があっても自信満々、すぐにキーを回して状態の良さを宣伝してきます。

モジモジとなんだかんだ理由をつけてエンジンを回してくれないところは、その毎日の車体ケアを怠っているところ、そんなところで車を買ったり売ったりするのは止めておきましょう。

また、「ファンベルトが痛むのを防ぐために外してるから今はエンジンかけれない」なんてもっともらしい理由をつけてくるところもありますが、ベルトなんて実は数百円から高くても1,000円程度のものがほとんどで、それが痛むのを心配するより取り外しする手間の方がよっぽどめんどくさい。

要は毎日の管理の手間をなくしたい行動なので、こんなお店も失格です。

販売ブースのない買取特化のお店の場合

一方、参考にする材料が少ない買取特化型の店舗の良し悪しを判断するのは非常に難しくなります。

まず店舗に一人は査定スタッフが常駐しているはずなので、混んでもいない限りスグに対応してくれますし、身だしなみも基本整備作業などをしないためビチッ整っていることがほとんどです。

夜もしくは夕暮れ時に来店してみましょう

買取専門店を判断するときは自分の車の価値をきっちり判断してくれるか否かを見極めることが大切ですが、それをわかりやすくしてくれる方法が1つあります。

それが暗くなってからの店舗訪問で、これは出張買取の時でも応用可能な方法です。

査定のことを知るうえで必ず覚えていてほしいのが、基本的に中古車の買取査定は「減点法」によって決まっていくということ。

  • 車体の痛みやカラーリングの色あせ
  • 足回りの不具合
  • エンジンの調子

などを査定士は見て、すでに決まっている相場の「最高買取価格」からそれぞれをマイナスしていって最終的な買取額を決定します。

しかし、夜間や夕暮れ時など暗くなっている時間帯では細かい傷や足回りの完全な見極めがしにくいはずで、それらのに買取査定を引き受けるということはある程度車両の走行距離や年式などですでに査定額を決め込んでいるということです。

メンテナンスをしっかりしている車は夜間に査定を受けるところに売っちゃダメ!

さて、見出しでもう結論を言ってしまいましたが愛車に愛着を持ちオイル管理や正しい洗車などをまめにしていて自分の車の状態に自信を持っている方は、前の項でいった夜間に査定を引き受ける店舗に売り渡すのは賢明ではありません。
述べてきたように基本買取査定はマイナスポイントを見つけるのが査定士の仕事ですが、しっかりとしたメンテナンスをしている場合は走行距離や年式ではじき出された相場よりも高い評価を狙うことができます。

しかし、暗くなった時間に査定を受けてしまうという行動は、そのプラスポイントについてはのっけから評価をする気が無いというのを前もって言っているようなもの。

特に本来は人気のカラーで買取額のアップポイントになるはずのブラックの車を夜間に査定を引き受ける神経が筆者には理解不能です。

いくら照明を当てるとはいえ、昼間ではその美しさが際立つはずのメンテが行き届いたボディーの魅力が夜間ではわかりにくいのに「われ関せず」、マニュアルにのっとたチェック項目を黙々とこなす店舗からプラス評価を引き出すことはまずできないので、夜間の出張査定や来店査定を断った店舗に昼間しっかりとした査定をお願いしましょう。

まとめ

買取専門店舗で夜間査定してくれるところは、反対にちょっとほったらかしで状態の良く無い車体の査定を頼むときには、マイナスポイントを見逃してくれる可能性もあるので利用価値が出てきます。

ただし、契約確定後重大な欠陥が見つかったときに「損害分請求」をしてくる店舗もあります。

大きな傷やへこみといった一見するだけで素人でもわかるダメージ、修復履歴や車体のグレードの見落としなど業者側の完全な不手際の場合は突っぱねて大丈夫ですが、夜間の査定を受けるところに限ってそれを威張って請求してくるところが多いので、買取額が決まったときの「買取後の請求の有無」についてしっかり確認しておいた方が良いと考えます。