ホンジャマカの石塚英彦さんが出演するCMが有名に車買取専門ラビットは、国内カーオークション会場の最大手「USS」と提携していることで高い買取額を実現しているとサイトなどで触れていますが、実は提携どころではなくUSSオークションを運営する(株)ユー・エス・エスが100%株を保有する完全子会社です。
2016年4月まではあくまで傘下グループの一員として、株市区会社カーネクストがフランチャイズ全体を統括していましたが、今は吸収され、USSの繁栄のために良質な中古車を買い付ける「仕入れ」専門の機関のような位置づけになっています。
実は元ガリバー社員がいっぱいなんです
ラビットが急成長を遂げた背景に、業界の王様ガリバーの元社員がラビットに再就職しそのノウハウを流出、吸収してきたことがあります。そのため、ガリバーの買取方針や手法とラビットのそれは似通ったところが多くあります。
ラビットとはUSSの優秀な買取部隊
ガリバーのノウハウが入り込んでいるものの、完全にガリバーとラビットが異なる点はガリバーが近年「ガリバーアウトレット」という販売に特化した店舗を全国に広げ直販に力を入れている一方、ラビットは直販をせず買取車両をUSSに出品していきます。
そのため親会社であるUSSの希望する車種に対してはっきりと高い査定をつける傾向がありそれを「買取強化車種」と毎月明記しています。
全国に18か所、多くの中古車会社のバイヤーが集まり、海外からの買い付け客も多い業界最大手USSから、直に中古車販売市場における高価取引車種や不人気車種についての情報を入手できるのも、ラビットが他社より有利なポイントです。
ここに集まるバイヤーは、USSの強力な商品仕入れ能力による出品数の多さとその多岐にわたる車体バリエーション、そして正確な車体評価を信頼して集まっています。
ですので、ラビットはそのバイヤーからの支持に応えるべく、優良な中古車を全国からかき集める必要があります。
そのため、張り巡らされたフランチャイズ店を強力な統制力を持つ中央組織が、
「今USSで人気なのはこれだから重点的に買うように」
「これらは不人気だから査定額を下げるように」
などといったように指導しています。
つまりラビットは、国内最大のオークション会場の繁栄のため全国に散らばる約170(2015年時点)のフランチャイズ店を手足のように操り中古車をかき集める、USSの強力な仕入部隊なのです。
その証拠に、買取価格のつかなかった車両引き取り、手数料をとって処分する他のほとんどの買取業者が行う「廃車代行手続き」を、ラビットだけ唯一行っていません。
要するに、USSに出品しない廃車対象車両はタダでもいらない、仕入部隊ラビットにとっては人手もかかるし時間の無駄という訳です。
ラビットの査定のメリットとデメリット
ラビットは基本的には直販をしないため、純粋にオークション会場での「利ざや」のみで利益を上げる会社です。
ですので、オークション会場で高価で落札されやすくUSSの目玉商品となりえる人気車種に対しては、他社より高い査定を受けることができるケースが多々あります。
が、その反対に落札されにくい不人気車や、オークション会場に訪れるバイヤーの毛嫌いする外国車種や過度な改造車の査定は正直めっぽう厳しい。
また、直販型にとっては美味しい「古いが状態が良くすぐに売り手の見つかりそうな軽自動車」なんて車両も、売る相手がいるからオークション相場より「+査定」ということは、まずありえません。
さらに知っておいてほしいのがこのラビットはUSSの子会社でありながらしっかりとUSSにオークション会場の年会費や使用手数料などを他社と全く同じだけ支払います。
おそらくフランチャイズ型であるためそれら加盟法人から安定した収入をUSS本体が得るためでしょう。
しかしこれにより特別にUSSから「これを仕入れろ」と強化買取の指示が出ている以外の車種に対する他社との圧倒的なアドバンテージは期待できず、オークション会場から降りてくる「相場なり」の買取査定が付くことになります。
つまり可もなく不可もないよく言えば安定した査定額を提示してくるのがラビットであり、ここの査定額がその車体の現状買取相場の「基準」と考えて間違いないと考えます。
一方、他社でさして高い査定が付かなかった人気車や、古い車種でもなぜかラビットでは「強化買取対象車」に上げられていることがあります。
実はこれ、USSからなんとしてでも仕入れるよう強いオーダーを受けている車種。
要するに売り先がはっきりと決まっている車種であるため、他社では出せない買取査定額を出してくる可能背が非常に高いので、運よく対象車種に乗っている場合は、売却先の第一候補としてラビットを迷わずチョイスすべきでしょう。
他社との比較基準としての使い道
これはちょっと、ラビットさんには申し訳ないことかもしれませんがラビットに車を売る売らないは別にして自分の車を手放すときは「最初に」ラビットで査定をしてもらいましょう。
ラビットはUSSでの落札額の相場をダイレクトにそして確実に把握して査定額をはじき出しているので、USSでの自分の車の評価、つまり現状業界全体での平均的査定額を知ることができます。
その後他社の査定を受けて、ラビットより高い査定額を出してくるところがあれば、
- 今まさにその業者の顧客がその車を欲しいと思っている
- その業者の品揃えの面で揃えておきたい車種だった
- 経営者の趣味と独断(事実筆者が勤めた業者の中にはなぜか同じ車種ばっかり高く買う経営者もいました)
など、何かしらの理由で相場に反してでも、その車体を欲しがっている可能性が高いと考えられます。
中古車の相場は非常に流動的、業者ごと相場に反してでも一点ものである中古車に自社の都合だけで高い査定をつけることは少なくないので、他社との比較のたたき台にラビットの査定額を使ってみるという高等テクニックもあります。
店舗によってばらつきが…
USSからの強い指示で動くラビットですが、実は店舗拡大期には約500ものフランチャイズ店が存在していました。今は紹介したとおりそれも縮小しましたが、2018年までには200店舗を回復するのが目標とされています。
この大きな理由は金融不況や、若者の車離れなど大きな経済的背景の影響もありますが、ラビットの内部的には、USSの方針とコンセプトに従わない加盟法人を排除していったという理由もあります。
その8割近くがフランチャイズ店であるラビットは、いくら中央組織が頑張って指揮をしても、その通りの店舗が動かず、自らの利益重視で動く店舗も少なくなくありません。
加盟法人はどれも小規模で、運営状況のよし悪しもそれぞれなのである程度仕方のないことなので、店舗ごとに査定額にばらつきが出る場合もあります。
そしてそれは対応するスタッフの質にも現れ、とても心地よくスムーズな対応を絶賛する声もある中、暗く横柄な態度を取られたというクレームもあるなど、店舗の当たり外れが激しいのもラビットの特徴といえます。
まとめ
上記で述べた店舗による査定額やスタッフの質のばらつきは、フランチャイズ型の買取業者ならどこでも起きうることで、直営店舗を選んで直接そこに持ち込めばその心配も薄れ、安心感と安定感は増します。
車を売るにはまず店選びからといいますが、ラビットに関してはそれが極端に影響するケースが多いので、顔の見えないネット査定などの時は特に注意が必要です。