1980年代は全盛期でした…懐かしい!
今から30年以上前のお話、筆者が車に興味を持ち始めたころ若い世代はこぞってスポーツタイプの車を自分の収入に見合わない額を支払って購入し、手をかけ暇をかけ自慢の愛車に仕上げていました。
トヨタのスープラや、ハチロクレビン、ホンダのNSXやアンフィニRX-7、さらに日産のスカイラインGT-Rシリーズ等々、キラ星のごとくスポーツ車が公道で、またはレース会場でその運転技術を競ったものです。
その火付け役になったのが、F1で1989年にフジテレビで中継が始まると「音速の貴公子」アイルトン・セナの駆る、マクラーレン・ホンダに爆発的な指示が集まって、ホンダの発売するスポーツ車に人気が集中しました。
セナはまるで日本での中継開始に合わせたかのように、89・90・91と3年間ワールドチャンピオンに君臨、合わせてホンダからは、プレリュード、シビック、インテグラなど次々とスポーツタイプの車種が販売され、他メーカーもそれに追随して世の中にスポーツカーがあふれていました。
しかし、それのF1からのホンダの撤退や、セナの94年レース中の事故での死去などが引き金でドンドンと衰退。
バブル景気の崩壊もあって自動車産業は低燃費で維持費のかからないコンパクトカーや軽自動車へと移行していって、パワーはあるが燃費は最低レベル、コストもかかってくるスポーツカーはその姿を一気に減らしていきました。
目次
今はどちらかというと見たものカッコよさに支持が集まっている気が…
古い車種は違いますよ?比較的新しい車種の話です。ホンダのS2000やRX-7の後継車種RX-8、スカイラインシリーズなどは、2000年代に入って販売されたスポーツ車種もありますが、そのどれもが生産終了になっています。
そのためそれ以前のスポーツ車種も含め、非常に玉数が少なく、状態が良く比較的新しい年式のものは、その性能云々というより見た目重視で購入する方も多く、非常に高値で中古車市場では流通しています。
たまにスペックのいいスポーツカーが入ってくると、筆者の若かりし頃、ならよく聞いた「これは○○馬力でさあ!トルクが○○で、サスも…」なんて会話がなされることはあまりなくて、「チョーかっこいい!」といってそれらを買っていく方が多くなりました。
いいけどあとで知りませんよ?
独断と偏見が入りますが、外見だけでRX-8なんか買っちゃうと、たぶん後で痛い目を見ると思います。
ロータリーエンジンの代名詞的車種で、全盛期はその小さな体格から得られるパワーや振動の少なさ、そして何より独特のエンジン音で人気を博したマツダの看板でした。
ただ、今ではなんか燃費がすごく悪くて(良くてもリッター8ぐらいです)、その割にはエアコンをつけて数人乗せたら、坂道なんかで案外苦労するトルクの低さが目立つ車に感じられるでしょう。
そもそも、平たいレース場なんかで1人を乗せることを前提に、威力を発揮するようにできてるし、整備士の立場からみてもとにかく整備がしづらい。
はっきり言ってしたくありませんが、仕方なくやるとして工賃の感覚でいうと、通常のエンジン整備の1,5倍から2倍は欲しいぐらいで、部品代も併せて高くなっています。
また、自動車税が見た目よりかなり高い(ロータリーエンジンは排気量が1、5倍で計算されちゃうんです)、エンジンオイルの劣化が異常に早いなど、メンテナンス1つとってもコストがかかります。
もし、どうしてもロータリーに乗りたいなら、いや、見た目でRX7やRX-8に乗りたいならそれは我慢すること、そして乗り換えの時の買取査定で買いたたかれるのも、ある程度覚悟しないといけません。
いる?そんな高性能エンジン
はっきり言いますが、スカイラインの最上級GT-RやNSXや唯一といってもいいぐらい貴重な現行の6代目フェアレディZ、噂では2017年に復活するといわれている新型のRX-7など、少なくても300馬力以上ある車たちって、日本の道路状況を考えていま必要ですか?
いや、好きですよ?筆者は。
スポーツカーの全盛に青春を謳歌していましたし、セナがなくなったときは泣きましたもの。
そして、これらの車種はそのエンジン性能の高さゆえ、元の新車価格が高くもちろん中古車の価格も併せて、軒並み高価で販売されてはいます。
しかし、それが即買取価格と比例しているかといえば、「NO」言わざるを得ません。
道路を颯爽と駆け抜ける姿に、あこがれるユーザーも確かにたくさんいますし、こういった車種を専門に取り扱っている店も少なからずあります。
ただ、ここでは市場を支配している今の空気感で話させていただいているので、スポーツーカーは「不人気車種」といわざるを得ません。
今の若者や主婦層、通勤に使う車やレジャーへ出かけるファミリーカーとしてはどうでしょう、はっきり言って不向き以外の何物でもありません。
ということで、個人的な好みを度外視して「中古車屋さん」の判断としては売れない車、高価な車種ではあるけども、積極的に高評価をしてわざわざ仕入れるものではないと、心を鬼にしてここでお伝えしておきます。
断っておきますが、買い手が全くいないという訳ではなく、外見が美しくエンジンの状態も良好であるなら、「スポーツカー」というジャンルでの扱いではなく、「高級クーペ」というカテゴリーで高い査定額が付くことはたくさんあります。
改造はNGです
スポーツタイプにある、最も買取査定と関わってくる要素がズバリ改造です。
ここで、うんちゃらかんちゃら、エンジンチューンナップのことを話しても「なんじゃそら?」ってなりますのでやめますが、今は大体見た目重視のホイールやエアロ、せいぜい後はダウンサスを組むぐらいでしょう。
これらは純正(まあホンダなら無限ブランド、日産ならNISMO辺りはOK)パーツであればプラスにも働きますが、「どこだそれは?」と突っ込みたくなるようなメーカーのものが引っ付いていたら、筆者だったらマイナスします。
あと、本当に最近は少なくなってきたので、数年に一回ぐらいしか見かけませんが、
- ブーストアップ
- タービン交換
- インタークーラー追加や容量アップ
などといった、主にターボチャージャーに施すチューニングや、マフラーの交換や吸気系ににパワーフローなどをがっつり装着したような車は、一般的な的な中古車にもっていってもダメ。
基本、純正のままが最大値であるそれらに、カリカリチューンを持って行った日にはマイナスの嵐、そういう車が集まる専門店に行かなきゃまともな査定は受けられません。
古い車種の中にはプレミア車種も
これはレアケースなので最後に少しだけ紹介しますが、自分の車がこれに該当するからといってぬか喜びをしちゃだめですよ?車体の状態からエンジンの程度まで、細かく条件にあった場合だけの話ですから。
実は往年のスポーツカーの中には、新車の時の価格を上回る、「プレミア価格」で取引されている車種もあります。
1995年代人気の中モデルチェンジされ、車好きの間で大反発があった超人気モデル、R32スカイラインGT-R。
日本車の中で、最もスーパーカーという響きがふさわしい、ホンダNSX。
日本で一番海外で成功したスポーツカーで、状態の良いものの数が少ないマツダのロードスター。
などは、時にすさまじい値段の出物を見かけることがあります。
また、今人気が出てきているのが、ホンダが1996年に生産を終了させたビート以来の軽オープンスポーツ車種「S660」で、2015年の販売価格より50~60万円以上の高値で中古車として登場しています。
一緒に古いビートにも人気が集まってきているのが車業界らしい現象ですが、このビートが結構エンジントラブルが多くてにエアコンが壊れているものがあります。
しかも、旧規格で今は製造中止になっているR12ガス使用なのでなにかとお金がかかってしまうので、もしブームに乗っかってビートを買うときは、エアコンのチェックをしっかりとしてください。
まとめ
個人的には赤や黄色、ブルーといった目立つカラーリングで、迫力あるエンジン音でぶっ飛ばすスポーツカーには、強い思い入れがあります。
ただ、そのカラーリングも日焼けして色あせしやすいカラーなので、管理も大変。
何かと、査定でのマイナスポイントも多いジャンルなので、購入するにはちょっとした勇気と覚悟がいるのではないかと思います。