キャンプに行くときはたくさんの荷物や人員を一気に運べる車種の方が便利ですし、アウトドアでは時に悪路を走ったり、天候の急な変化に対応する必要があります。
ゆえに単純に考えるとワンボックス車やRV車がそれにあたりますが、どっこい軽自動車にも十分活躍できる車種があり、そのコスパの良さで大型RVの座を揺るがしている人気車も存在します。
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山道でも雪道でもへっちゃら!RV車の王者パジェロ
まず登場したのはパリダカールラリーで数度の優勝を含む輝かしい成果を残し、1990年代の一大RVブームをけん引した日本を代表するオフロード車のパジェロ。
三菱が1982年から発売していますが、その製造は人口1万ににも満たない岐阜県の坂祝町にある工場で行われていて、同町のHPではこのパジェロを「特産品」として紹介しています。
現行は2006年から現在まで10年以上販売が続いている4代目で、乗り心地はいいものの衝突にはいまいち弱いとされているモノコックボディーに、トヨタランドクルーザーなどに使われているラダーフレームを溶接、さらに特殊高性能鋼板の採用で剛性をアップするなど、快適で高性能な走行性を保ちながら路面からの衝撃にも耐える構造となっています。
一方、エンジンフードは軽いアルミ製に変更されていて旋回性能も先代よりかなり向上していますが圧巻はその悪路をものともしない四駆システム。
「スーパーセレクト4WD」と呼ばれているのですが、路面の状況に応じて自動的に4WD・後輪2WDになるだけでなく、同じ4WD状態でも前後の駆動配分を自動制御して雨でぬかるんだドロ道でも舗装路面でも、安定した走りを実現できるようになっている点です。
実は筆者このパジェロには特別の思い入れが、若かりし頃ある車で海岸沿いを走っていた際、思わぬぬかるみに車輪を取られ一切身動きが出来なくなったことがありました。
辺りにも夕日がさしてもうすぐ暗くなる時分、文字道理途方に暮れていたところ遠くからやってくる巨大な白い車がこのパジェロでした。
ちょうど一回りほど上の男性が、何も言わず自分の車についたウィンチを筆者の車にかけ引っ張ると、愛車は何事もなかったかにように道路に復帰、お礼を言う間もなくその白いパジェロは夕焼けの中を去っていきました。
以降「最高のオフロード車はやっぱいパジェロ」というのが筆者の考えで、問題は山積していますが製造・販売元の三菱自動車にもぜひ今後もこのパジェロを主力に復活してもらいたいと考えています。
テント代わりにも!乗り降りもらくちんなステップワゴン
あだ名は「走るベット」、初代からずっとその広い車内空間にゴロンと寝転んで、オートキャンプなどを楽しむ方も多い、ホンダの代表的ワンボックスがこの車種。
2015年にモデルチェンジされたこのステップワゴンは、大幅なダウンサイジングが実施され、エコカー減税の対象である平成32年度の燃費基準をクリア。
さらに、歴代で最小排気量の1500ccとなっているため競合する他メーカーのワンボックスより自動車税の節約にもなり、現在のユーザーが求めるコスパの良い車に生まれ変わっています。
とはいえ、初代から引き継いできた居住性の高さはしっかりと維持、いやより高める改良箇所もたくさん。
その最たるものが、
「わくわくゲート」・・・上開きの後部ゲートに横開き式のサブドアがついていて、そこからの乗り降りも可能になっている。
「マジックシート」・・・3列目のシートを左右に分割して床下にしまうことができる。
で、これを連動させることで今まで以上のシートアレンジと乗降性の高さが実現しています。
小さくてもその悪路走行性能はピカイチ!ジムニー
現行はもう20年近くフルモデルチェンジが行われていない3代目、初代は11年間、2代目も17年間売られ続けた非常に息の長い車種で、古い中古車でも人気が高いのがこのジムニーです。
現在オフロード仕様であっても前述のパジェロ同様、街乗りを意識して低振動で乗り心地のいいモノコックかをしている中、かたくなに重量が増え振動なども顕著なラダーフレームにこだわり続けている日本随一の軽自動車オフロード車。
また、サスペンションも衝撃吸収性の高く現在他車種のほとんど採用する独立懸架型ではなく、悪路においての接地性能が良く車体の底打ち防止効果のある「車軸懸架型」を採用。タイヤも軽自動車としては大きな16インチで、横浜タイヤの「ジオランダー」など高性能RVタイヤが装着できます。
その4輪自動車最高クラスの悪路走行性能により、世界中でクロスカントリー競技用のベース車とされるなど、歴代すべてのモデルが国内にとどまらず海外でも人気を集める、筆者的には「世界最強」の軽オフロード車種がこちらです。
見た目の可愛さとアウトドア対応能力を共立!ハスラー
前述のジムニーが掲載今日のオフロード車なら、同社のこちらは最強の遊び心を持った軽自動車と評したいところ。
スズキが、現在軽自動車の主流となっているハイトール車とSUVの持つアウトドアやスキーなどといったレジャーをエンジョイするユーザーが、雪道やでこぼこの山道を軽快にアクティブに走り回れるオフロード走行性能を融合させることを想定して開発開始。
2915年12月に軽クロカンSUVという今までなかった新ジャンル車種として誕生したこちらは、その意図通り多くのライトアウトドアユーザーの目に留まり大ヒット中です。
以前同社には「Kei」というセダンとSUVの融合を図った車種がありましたが、2009年にその生産は終了していました。
その遺志を継ぐこちらはワゴンRと同じシャーシを使いながら大きめの15インチホイールとサンスペンション設定の変更でその最低地上高は18cmとワゴンRのそれより3cmほど高くなり、でこぼこの路面を走行してもバンパーなどが路面と接触しにくいようになっています。
また、足回りフロントには車体のローリングを防ぐスタビライザーが全車に装備、ショックアブソーバーのチューニングと合わせてクロカンの名前に恥じないダイナミックな走行性と安定感を感じることのできる車種に仕上がっています。
また、小回りの良さやカラーリングが豊富なことなどでアウトドアでの利用だけでなく街の利用に購入するユーザーも多い車種で販売初年度での売り上げ台数は見事大ヒットの基準である10万台を突破、8年間の長きにわたりダイハツに渡していたスズキの軽自動車販売台数NO,1の座を取り戻すことができたのは、このハスラーのおかげでしょう。
混迷化する王座争い
オフロード走行性能だけで見ればやっぱりパジェロ、大人数でのキャンプなどではステップワゴンに軍配が上がりますが、そこはやはりそれなりの維持費がかかってきます。
一方、街乗りも視野に入れればハスラーやジムニーなどがその安いランニングコストと駐車スペースの狭さ、カップルでのレジャーやおひとり様での釣りレジャーなどでの利便性では一枚も二枚も上です。
また、ここでは紹介しませんでしたがトヨタランドクルーザーもそのオフロード走行性能ではパジェロに引けを取りませんし、ダイハツのウェイクはハスラーとアクティブ軽自動車としての王座を激しく争う人気車種。
さらに、トヨタのハイエースや日産キャラバンをキャンピングカーに改造している中古車なども専門店では販売されているので、それらも含めるとどの車が最強なのかさらにわからなくなってしまいます。
頑張って結論を出してみました
今回紹介した車種とその他の車種の特徴を踏まえたうえで、筆者の独断と偏見から最強車種を決定するなら、コスパとハイトール並みの車内空間の充実、さらに軽自動車特有の小回りの良さとオフロード性能を高次元で両立した「ハスラー」を、今回は王座に据えたいと思います。