愛車を手放すときにそれをいくら高く売りたくてもそもそも購入の時点でその車種自体の相場はある程度決定していて、それを大幅に上回る査定が受けられることは少なくなります。

リセールバリューとは

言葉自体はガリバーが生み出しました。1年に1万km程度で、日本自動車査定協会の基準で「標準状態」とされている走行距離以内である場合、もちろん塗装の状態や人気度合い、タイヤなどの消耗品の状態にもよって変わりますが新車購入から3年後に購入時の40%から60%の値段で買取してもらえるような車を「リセールバリューがいい車」といいます。

つまり、新しい車種が出るたびに乗り換えたくなる方はこのリセール(再販売)するときのバリュー(価値が高い)車を選んで購入するように心がければ、買い替えの時その査定額との差額が少なくスムーズに次期車種への乗り換えができるという訳です。

中古車購入時にも影響するのか

新車購入から3年たった状態での残価率の高さを表現するのがリセールバリューですが、中古車購入時にももちろん影響を及ぼします。

基本的に新車時にリセールバリューが高いとされている車種は、軒並み中古車になってもその高さを数年維持します。

この「数年」の目安になるのが2回目の車検になる5年とそれに合わせて5万kmの走行距離で、これを超えるといくら新車時に高いとされた残価率も、年を追うごとにどんどん下がっていきます。

希少価値があるものや海外需要の車種は例外

ただし、いくつかの車種ではその新車販売台数の少なさに比べ強いファンがいて、車体自体にプレミアとは言わないまでも残価率の下がりにくい特徴のありものも存在します。

また、近年伸びてきている中古車の海外輸出においてその需要が多い車種についても、このリセールバリューが年式や走行距離の割に高い場合もあります。

リセールバリューが高いことが予想される車種

具体的な車種を紹介する前にまず総合的なことから伝えると、当たり前ですが新車人気の高い車は軒並みこのリセールバリューが高いと考えて間違いありません。

年間の新車販売台数のトップ20位辺りまでの車種は基本的には3年後のリセールで、40%を切るようなことはよほどの不人気カラーか、エンジンなどの状態の優れない場合を除いてないでしょうから、前年度の売り上げをネットなどでチェックしておくと新車購入時の車種選択の役に立ちます。

また、3年後同じ走行距離だとしてもカラーリングの状態や小キズ、さらに車内空間がきれいに保たれていることが、その残価率を保持する絶対条件なのは言うまでもないところです。

ワンボックス・RVはトヨタ車が強い

何も持ち上げるつもりも媚びを売るつもりもありませんが、トヨタ車は総じてこのリセールバリューが高い車が多いのが特徴です。

ワンボックスやRVの購入者ニーズはファミリー層になり、「パパウケ」のいいクールなデザインや、燃費、山道などでの走行性能の高さなどが大きな査定アップ要素となってきます。

再販売するということは、3年目以降も長持ちしてくれる車種でないと高く買い取れるわけもなく、この長寿命である点が他のメーカーに比べて評価が高いのがトヨタ車です。

具体的に言えば、

2011年モデル アルファード・・・残価率平均 71%(2016年新車販売台数24位)
2011年モデル ヴェルファイア・・・残価率平均 71%(2016年新車販売台数20位)
2011年モデル プリウスα・・・残価率平均 70,5%(2016年新車販売台数1位)
2007モデル ランドクルーザー・・・残価率平均 67,5%(2016年新車販売台数30位)

などで、ここに日産の2010年モデルのセレナが割り込んでくる情勢となっています。

また、トヨタ車ほどではないものの、ロングランRV車種である三菱パジェロやスバルのフォレスター辺りもしっかりと60%台の残価率を誇ります。

cx5さらに、マツダのCX-5の現行はその残価率でトヨタのハリアーを上回る63~66%という高いレベルをキープ、業界や自動車ファンの間で「マツダ地獄」とも揶揄されていたリセールバリューの悪さを脱却した車種だといわれています。

セダンもトヨタがトップ・・・と思いきや意外な伏兵が

リセールバリューが軒並み低いのがセダンですが、その中でもマークXやプリウス、オーリスなどといった現行トヨタ車はそのどれもがしっかりと50%台の残価率。

ただ、最もバリューがあると評価されているセダンは意外や意外、ホンダの生み出した名車「シビック」です。

というか、筆者世代から言えば「シビックってセダンないかい!」と突っ込みたくなりますがちゃんと4ドアセダンもあって最も人気が高かったのが、8代目シビックセダンの最終モデル。

2009年当時の新車価格が300万円だったのに対して、3年3万km経過時査定平均が205万円程度だったことから計算すると、実に平均68,5%というセダンではかなり高い残価率を誇っていました。(注)

もちろん3年3万kmという縛りはありますが前述したパジェロやフォレスターなど、シビック同様長く人気車種として君臨してきた息の長い車種は、そのどれもが中古車としての価値が下がらない傾向が見て取れます。

(注)・・・8代目シビックセダンは2010年に生産終了し、その後の9代目は日本での販売がなされていないので017年現在あるのは7年落ち以上の古い車体、そのためここで紹介した残価率は適応できない。ただ、海外専売となっていたこのシビックが10代目として2017年夏7年ぶりに日本に再登場する見込みで、古いファンからの熱い視線を浴びていて、そのリセールバリューも高くなることが予想される。

新車人気の高いコンパクトカーですが…

意外に他のタイプに比べてリセールで人気が出ないのがコンパクトカーです。

フィットやアクアといった新車販売台数のトップ5に入るような車種でも50%を超えるのがやっと。

今やマツダの看板車種で、2016年度は年間販売台数15位にもなっているデミオに至っては、リセールバリューがいいとされるぎりぎりの平均40%程度にとどまっています。

ただし、今回のリセールバリューを考えるうえで基準にしているのは2016年に3年目を迎える車体についてです。現行で2016年にその人気が高く見事20位以内にランクインしたのは2014年に販売開始された「現行」デミオ。

つまり、2017年以降登場する3年目の中古デミオのバリューは、もう少し高めになることも予想できます。

軽自動車は・・・全部!

もともとの車体価格が安めな軽自動車は売れるので回転率が良く、仕入れ倒れが少ないのが特徴、そのため中古車販売業者の健全な店舗運営に欠かせ無い存在です。

特に3年3万km以内に収まっている車体は、店の看板商品として高い集客能力を持っているので、業者も高い査定額を提示してそれらをかき集めようとします。

現在新車として売れに売れている、ホンダN-BOXやダイハツタントなどの軽ハイトール車種、更にウェイクやハスラーなどの新興勢力はその残価率が高めに推移しています。

またかつての軽自動車の帝王、ワゴンRとそのライバルであるムーブも依然として根強いファンがついているためリセールバリューが高め。

さらに、女性から「指名買い」されるほどの圧倒的な支持を集めるラパンやココアなども、内装などの状態が良ければなかなかの残価率を持っています。

まとめ

今回はあくまで、「新車購入から3年目」でのリセールバリューについて、2014年から2016年あたりの駐車車販売価格や査定平均価格を総合して筆者が独自にはじき出したもの。

ですので、この通りの査定が必ず受けられるという訳ではないことを最後にお断りしておきます。

このリセールバリューは、新車購入時だけでなく中古を購入する時にも意識する必要があるのですが、これが少し今回の新車購入時とは様相が変わってくるので、そのあたりは次回パート2でお伝えします。