その加入を自分の意志で決めることができる任意保険ですが、種類が多くてどの特約を付けるといいのか素人には判別しにくいのが現実です。

任意保険を選択する自由

任意保険は基本的に1年周期で満期がやってきますが、ほとんどの損保会社がその更新について手続きなしで自動更新するシステム。

ただ、全く同じ補償内容でも会社が違えば掛け金が大きく異なるため満期のタイミングでより安い金額の会社や、適応する特約を準備している保険に乗り換える「自由」があります。

保険等級の存在

自動車の種類と車検期間で一定な自賠責保険の掛け金に対して、会社ごと補償内容ごとさらに追加する特約によってその掛け金が違うのがこの任意保険です。

ただし、各損保会社で共通しているのが等級による割引制度で、正確には「ノンフリート等級別料率制度」といいます。

自動車の保有台数が10代以上ある主に事業者への等級制度は「フリート」といい、その保険料率が違いますがここでは一般的な家庭での任意保険加入をメインとするためそれについては割愛いたします。

ノンフリート等級の上がり下がり

ノンフリート等級は1から20等級まであり1等級が最も保険料が高く、20等級が最もその割引率が大きくなります。

加入時の補償対象者の年齢によって変わりますが、基本的新規加入時は6等級からスタートし、無事故で保険を使わなかった年数が増えてくるとこの等級がどんどん上がってきます。(基本的に無事故1年で1等級上がる)

また、反対に事故を起こし保険の適応を受けるとこの等級は1件につき3等級下がり、その割引率も「事故車割引率」という、無事故車より低い設定の割引率が3年間適応されることになります。

20等級と6等級の差は・・・

免許を取って、車に乗り始めたばかりの方が新規に加入すると6等級からスタートしますがこの時は割引率無く、事故率が非常に高いことなどを理由に基本保険料から28%も反対に割り増しされます。(新規加入で全年齢保証の場合)

一方20年近くのドライバー経験がある方でその間無事故で等してきた方なら、必然的にこの等級は最大割引が得られる20等級になっているはずで、その割引率は実に63%となります。

まったく同じ車種で同じ保障内容の任意保険に同時加入、仮に年間の基本保険料が10万円だとすると、6等級の契約では年額128,000円の掛け金を支払うことになります。

一方、ベテランドライバーで20等級をキープしている場合ですとこの額は37,000円に急落、その差額は年間で91,000円にも達します。(保険契約を1社で継続して行っていた場合)

会社を変えても大丈夫!

ここで肝心なのが、この等級をたとえ保険会社を変えても引き継げることで、これによって割引率を下げないまま、あらゆる会社のあらゆる保険商品を比べて乗り換える自由が発生するのです。

自分と相手そしてお互いの家族を守るためのプラン選び

任意保険を自由に選べる制度があるなら、できれば少ない掛け金で同様の補償を得られるところを見つけたいところです。

また、掛け金が高い安いだけでなく事故対応能力の高さや安心感、取り揃えられている特約の種類などを自分のカーライフに合わせて選択する必要もあります。

ここからはいくつかのモデルケースを上げ、どんな任意保険をチョイスすべきかを見ていきましょう。

独身で若い世代の場合

前回自身が任意保険に入っていなかったことをお伝えしながら恐縮ですが、免許を取り立てでまだ運転経験も浅い世代の方ほど任意保険に必ず加入すべき。

対人・対物賠償は無制限が基本ですが「対物超過修理費用保障特約」という、相手の車の修理費用をすべてカバーできる特約などがついていると、より安心してドライブが楽しめます。

この特約は相手の車が古くて時価額が低く、その修理代がその時価額を超えるとたとえ無制限にしていても保証されない「落とし穴」を無くしてくれるもので、スピードを出して大きな事故を起こしやすく修理費用などの負担が上がると経済的に厳しくなる、まだ若い男性などにすすめたい特約です。

さらに、車に思い入れがあり背伸びして高い車やスポーツカーを購入した場合では、車両保険に入っておくとふとした自損事故の時に愛車の修理費が確保できるのでおすすめします。

また、若い女性は日頃の車トラブルについて対応できないことも多いので、手厚いロードサービスが無料で付いているところを選ぶと「いざ」というときに便利です。

さらに安心を求める場合、女性におすすめなのが「形成手術費用保障特約」などです。

基本的に任意保険で補償されるのは、そのけがが治癒する時点までで、それによって残る可能性もある「傷跡」などを気にして美容形成する場合の費用は対象外。

しかし、この特約が付いていればそれを負担してくれるので、しっかりと傷跡が目立たなくなるまで治療を続けることができます。

ただ、いろいろな特約を付けると掛け金は高くなり、基本的にこの世代の方の保険掛け金は高く、その負担が気になるところですがそれを節約する方法があります。

ご両親のどちらかが上記で紹介したノンフリート11等級以上である場合、本来は6等級からスタートするものが、同じ会社で2台目として契約すると7等級スタートになって全年齢保証でもその割増額が11%に減ります。
意外にその差額大きいので、もし両親の協力が得られるならばぜひ活用し、任意保険の確実な加入とその継続に繋げましょう。

既婚で家族を持った大黒柱の場合

ワンボックス車などで休日のレジャーを楽しむことも考えられる、家族を支える立場のお父さん方は、基本的な補償内容に加えて人身傷害に伴う「休業補償」の厚さをしっかりと確認しておかないといけません。

さらに家族を守るため、その治療費などをカバーできる「同乗者傷害特約」などをセットしておく必要があります。

また、保険会社の中には、「ファミリー障害特約」という自動車事故以外での家族のけがによる通院や入院費まで保証してくれる特約を準備しているところもあるので、生命保険の補助的に追加しておくのも安心を高めることに繋がります。

主婦や年配ドライバーの場合

自損事故日頃の買い物足に車を使う主婦の皆さんや、既に退職し第2の人生をスタートさせた年配のドライバーさんはその年間走行距離が少ないことが多いので、それの応じて割引が受けられる保険会社をよく吟味して任意保険を選びましょう。

また、えてして自損事故の多いこのケースでは「自損事故障害特約」などといった、単独事故でのけがなどの際、保険金が支給される特約をセットしておくとより安心でしょう。

さらに、免責金額が低い車両保険を追加しておくと自社の修理費用をカバーできるのでおすすめしたいところです。

「オールリスク免責ゼロ特約」などと名付けられた、どんな小さな事故でも自己負担を無くすことのできる特約なども用意されているので、それを選んで追加しておけば「ポールにこつん」なんて時でもその修理費用を請求することができます。

一方、最近どうしても目立つのが年配ドライバーさんによる事故、この傾向は高齢化社会という大きな波が原因でどうしても車が必要な場合も多いためいかんともしがたいところです。

あくまで個人的な意見ですが、家族も独立したこの世代の方が加入する任意保険は、「歩行者等事故傷害補償保険特約」など、基本的な対人賠償をカバーする「自分<他人」という設計の保険や特約を選んでおいた方が、後顧の憂いを少なくすることができるのでいいかもしれません。

まとめ

任意保険の加入と特約のセットはお金が発生することなので、すべてを網羅することはできないかもしれません。

ただ、自賠責だけに頼らず自分の家庭環境や経済状態などに合わせて適切な保険会社や特約を選べれば、より一層安心なカーライフを過ごすことができます。

また、今回紹介した特約の数々はどの保険会社でも取り揃えているわけではないので、加入時にはよくその有無や補償内容を確認するようにしましょう。