2017年の今年、創業30周年を迎える老舗自動車買取店のカーチスは、わずか2週間だけではありますが、あのホリエモン率いるライブドアグループの一員として(株)ライブドアオートと名乗っていた時期がありました。
現在店舗運営をしているのは(株)カーチスホールディングスですが、その屋号である「カーチス」はそのイメージを払しょくするために2006年商号変更されたもの、実はこれまで
エイジエイ(創業当時)→オートガーデン→ジャック→ライブドアオート→カーチス
と、度々その屋号が変更され運営会社自体も転々と移り変わり、その都度買取の特徴などが変化するため、業界全体を混乱させてきた時期もある中古車売買店です。
ちなみに筆者が業界にいた当初は「ジャック」という名前で全国に進出していた時期で、ライブドアに買収されるまでは、なかなか強引な営業マンが根こそぎ中古車を買いあさっていたイメージがあります。
しかし、現在の屋号になったあたりからはそれも安定、車買取比較サイトとして抜群の知名度を誇る「ズバット車買取比較」と「車買取比較.com」による顧客満足度調査でも8年連続でNO.1を獲得しています。(2006年4月~20014年3月期まで)
強みはそのグループ企業にあり!
カーチスは中古車の輸出を専門的に行う(株)アガスタ、自動車部品の仕入れなどを行う(株)タカトクというグループ企業を持っています。
そのため、過走行・低年式の車体で国内需要が見込めないものでも、
- ハイエース
- タウンエース
- ランドクルーザー
- ハリアー
などといった、長寿命で丈夫なトヨタ車と、ホンダCR-Vや日産エストレイル、三菱パジェロなどといった悪路をものともしないRVを中心に、海外輸出を視野に入れてそれらを高く買取査定できる強みを持っています。
また、海外のバイヤーとの強いパイプによって国産車だけでなく、日本ではそのユーザー数がどうしても少ないことが原因でその査定額が伸び悩む、中古輸入車の買取にも力を入れているのが特徴です。
さらに、輸入車はその整備に必要なパーツが入手しにくくさらに国産車のそれより高価で互換が効かないものが多いのですが、タカトクの部品仕入れルートでその入手が容易なこともこの輸入中古車の買取査定の高さに繋がっています。
また、不定期ですが1~2ヶ月に1度カーチス全社・全店舗をあげて「炎の2日間」という買取価格アップキャンペーンを展開しています。
全国にある約60店舗カーチスで、他店の買取価格と競って高い査定を出すと評判を得ているイベントですが、これは全国に5か所あるカーチスの大型販売ブースの在庫充実を図るためのもの。
前述した輸出向け中古車の買取というより、国内需要の高い軽自動車や、低走行で年式も新しい車種を対象としているので、そのような車種に乗っている方はもしその情報を得たなら一度は査定を依頼するのもいいかもしれません。
総合的には・・・
輸出用車種などの買取や魅力的なイベントの展開で強みを持つカーチスですが、その販売能力は全国に数えきれないほどの販売ブースを持つガリバーやビックモーターには遠くおよびません。
そのため基本的な買取相場は、転売するUSSなどのオークション会場での落札相場によって左右されます。
よって、輸出の需要が高い前述した一部車種を除き、総合的に見ればその買取査定額は「それなり」、突出して高くもなく安くもないのが特徴で、2番手から3番手争いをする辺りと考えます。
ただし、名前や運営親会社はコロコロと変わったものの、業界の王者ガリバーよりも前に開業した30年のノウハウと満足度としても反映されている接客の良さなどは非常に高評価。いい意味で安定しているその買取価格と合わせて、不透明になりがちの中古車査定において一定の安心感を得たいのであれば、選択肢の一つに入れるべき買取業者だと考えます。
カーセブンとは
創業母体は、1999年に関東圏の中古車販売業者6社が連合で立ち上げた、(株)日本自動車流通研究所というなんとも個性的なネーミングの会社ですが、翌年現在のカーセブンディベロップメントに改名され、フランチャイズの本部として2015年現在120店舗に膨らんだフランチャイズ店の指導・統括業務を行っています。
カーセブンは買取専門店だと誤解している方も多いようですが、業界では「買取を積極的にやっている車販売店」というのが定説。
実は、その母体が中古車販売店の寄り合い所帯だったこともあり、その買取台数でみるとカリバーの22万台の7分の1に当たる3万台程度と非常に少ない実績。
なんだ、大した企業じゃないだと思いきや、どっこいその販売台数は驚異の9,6万台でガリバーのそれを上回ります。(2015年中古車流通総覧)
売れる=高い買取
どんな業界でもそうですが、売れる商品はその仕入れをたくさんしたいのが当然のことで、中間マージンのかかるオークション仕入れより、直接買取して直販できるものをその分高く査定して積極的に仕入れようとこのカーセブンはします。
ですので今売れ筋の軽ハイトール車種で状態が良く、大したコストをかけなくてもそのまま展示できる車体やハイブリット車などのエコカー、さらに年式も新しく低走行でオークション落札相場の高い車体は、他社を値段で出し抜いてでも何とか買い取ろうと値段を競ってくることがあります。
そのためうまく相見積もりなどを駆使すれば査定アップ交渉に乗ってくることも多いのが特徴で、ガリバーやビックモーターといった買取台数の多い業界王手とそん色ない、あるいはそれより高い査定を受けられる可能性も非常に高くなっています。
すべてが高額査定になるわけではない
一方忘れてはいけないのが、何も買取だけが仕入れ方法ではなく、オークション会場で安く仕入れられる車はそこで買えば数量を楽に確保できること。
落札の競争相手が多く、セリによって値が吊り上がることが予想される前項で触れた人気の車体以外は、普通もしくは安い査定評価が下され、価格交渉にもあまり乗ってきません。
価格競争しなくていい車種はわざわざ買わなくてもいい、「うちは買取専門店ではなくてあくまで販売店」という企業スタイルが原因で、買取実績が販売実績の3割にも満たないのはこれが要因でしょう。
ただこのカーセブンは、今そのフランチャイズ展開が大きく広がっている最中で今後販売台数がさらに伸び、それに合わせて買取実績も向上するようなことになれば、超人気車種以外の仕入れも直接買取で賄うように変化するかもしれません。
そうなれば、オークションに頼らない業態を維持し、それら査定額も安定していく可能性も秘めている業者です。
業界全体のコンプライアンスを意識
2015、2016年の2年連続でオリコンの顧客満足度第3位となかなかの好位置をキープするカーセブンは2017年現在の本部社長、井上貴之氏が理事を務める中古車の健全な流通とユーザー安全で安心なカーライフを維持するために発足した「JPUC」の理念を大切にしています。
そのため時に強引ともいわれる買取・販売時のセールスが紳士的で、女性や年配の方などに受けがいいのが特徴で、車の販売実績がすこぶる好調なのもこれが原因と考えます。
また、査定額の高低に関わらず、物腰も柔らかで親身にいろいろな質問に答えてくれる営業マンの姿勢を口コミなどで絶賛する方も多く、それを目にしてカーセブンに査定を依頼する方も多くなってきています。
まとめ
特徴的な業態を持つこの2つの中堅の買取業者は、うまく利用すれば大手の業者より高い査定価格を引き出せる可能性があります。
特に買取業者としてみれば中堅でも、販売台数は他の業者を大きく上回るカーセブンは、その加盟店の半数以上が国内・海外正規ディーラー。
当然ですが新車の販売も手掛けているので、次の車を探すのにも便利なためついでに買取査定の見積もりしてもらうのもいいかもしれません。