アップル北は北海道から南の沖縄まで、全国に加盟会社87社、238店舗を展開するアップルはフランチャイズ型の自動車買取・販売会社です。(2016年現在、同社HPによる)

1989年1号店が開業した自動車買取専門業者の先駆け的存在で、長い間販売に着手していませんでしたが、現在は「アップルグリーンカーズ」という中古車販売チャンネルもあります。

が、実際のところはほとんどの店舗が買取をメインに据えており、その買取台数はディーラー系のT-UPと同格の業界3位グループである一方、販売台数については公表すらしていません。

つまり、ガリバーやビックモーターなど自社販売に力を注ぐ直販型に対して基本はオークション会場に出品することで利益を得るオークション転売型の買取会社です。

アップルはその接客の良さが評判でオリコンが毎年発表する「顧客満足度の高い車買取会社ランキング」において2014年と2015年の2年連続で総合満足度ナンバー1を獲得しています。

これは、同社グループが2007年から介した優秀なスタッフを表彰する「ベストスタッフコンペ」で社員の意識が向上したことと、そのノウハウの素晴らしさから他の中規模買取業者のスタッフも受けるという、2010年開始した研修プログラム「アップルアカデミー」の成果だと考えられます。

CAAオークション+海外が売却先

アップルで買取された車は、愛知県豊田市に本社を構えるCAAが運営する同豊田市の中部会場、千葉県柏市の東京会場、岐阜県羽島市の岐阜会場、そして岩手県にある東北会場のいずれかにほぼ出品されます。

またアップルの運営元であるアップルインターナショナル(株)は2006年には中国にグループ企業を設立するなど中古車の販売ネットワークを海外にも広げ国内で需要の少ない車種も積極的に海外へ輸出をしています。

アップルで査定してもらうメリットとデメリット

まず裏話からしておきますが、アップルが主に買い取った出品するCAAオークションは中古車の評価の基準が非常に甘く、事故車などの見落としが多いといううわさが良く聞かれるオークション会場です。

事実はどうあれ、そういった評判が上がることが問題で、これは風評被害のような状態を産んでしまうことがあります。

そしてそれは、USSやTAAなど評価の厳しいところで安く買った車両を評価が甘いCAAにそのまま流して利益を得る車屋もいるほどです。

これは買取に大きな影響を与え、メリットとしては、評価の甘いCAAに合わせてアップル自体の査定基準も若干甘めなことが挙げられますがCAAの落札相場が他の会場よりどうしても下がる傾向にあるため、人気車種で状態が素晴らしい車でもなかなか査定額が伸びないケースもちらほらみられます。

ただ顧客満足度を得るスタッフの接客態度は心地よくたとえ査定額が低くともしっかりとした説明や鉄付きの正確さや速さが得られるため年配の方や女性など、車の買取交渉が苦手な方にとっては安心感が高いという、お金には代えられないメリットがあることは事実です。

アップルの車査定チェックポイント

オークション転売が主であるアップルの査定ポイントは、「価値のある車」ではなく「価値をつけることができる車」かどうかの判断が、まず最初に行われます。

というのが、オークション会場でプロが仕入れようと考える車のポイントは安く落札でき、それに自分たちで手を加えることで価値を付け、仕入れ価格よりいかに高い販売価格を付けられる車なのか、という点です。

わかりやすく説明すると、人気で状態も良く、100万円で落札できる車の中古車市場での販売相場が130万円だとします。

オークション会場での落札手数料と陸送費が総額で15万円かかるとするなら、単純計算ではその車の純利益は15万円になります。

一方、まったく同じ車種であったとしても、事故車とまではいかないまでも大きな「へこみ」があり、落札価格はグンと下がって、70万円になっている同車種があってそれを仕入れ多としましょう。

それを自社で板金塗装、中古車販売相場よりも安い110万円で販売したとすると、こちらの純利益はほとんどが手代(工賃)で経費のかからない板金塗装を無視すると、25万円になり前者のそれを上回ります。

つまりアップルは、バリバリの好条件車両の査定価格競争では、それらを好む直販型から一歩出遅れます。

が、プロが手を加えることで人気車種として販売できる、オークション受けの良い車体に関しては、直販型より高い買取価格をつけて入手しようとしてくるわけです。

価値をつけられる車の定義

要するに、状態のいい車イコールオークション会場での人気という訳ではないうえ、アップルはCAAに出品することが多いので、どこでも高評価で受け入れられる状態のいい人気車種を持ち込みより、「一難」ある車体を持ち込んだ方が、メリットが出る可能性が高いということです。

ただ、上記で述べた「価値をつけることのできる車」とはいったいどういうものなのでしょう。いくつもポイントはありますが、わかりやすいものからみていくと、

  • キズやへこみは目立つが販売相場がガクンと落ちその明記が義務付けられている事故車ではない事
  • 極端に大きな交換部品がない事(安い部品や塗料代程度しかからない板金・塗装はOK)
  • 外見さえよければ人気のある車種・白や黒などカラーリングであること
  • エアロやホイールなどを外すだけでノーマル車に戻せる軽い改造車であること

などがその条件で、こういった車にお乗りで他社の査定が気に入らなかった場合は、アップルに一度持ち込むのもありです。

軽自動車全盛の今、乗用車やワンボックスの買取査定もアップルが有利?

現在、中古車市場で人気があり需要も大きく査定額も伸びやすいのは断然軽自動車です。

しかし、海外にはそもそもその「軽自動車」という枠組みすら存在しない国かほとんどですし、日本の中古車が飛ぶように売れるアジアの国のうち、軽自動車がその維持費がかからないメリットを最大限に発揮する車検も韓国とタイ、シンガポール以外の国では受ける義務がありません。

そのため、海外に出回っている日本の中古車は、道路の整備が行き届いていないなどのお国事情事情もあってそのほとんどが乗用車で、特にいっぺんに多くの人員や荷物を運べる、ワンボックスの需要がナンバーワンです。

日本のほとんどの中古車買取店が価値を見出さず、査定額をつけない事の多い古いハイエースやタウンエースなどについても、海外ネットワークを有するアップルではある程度の査定額をつけてくれることがあります。

また、トヨタのお膝もと豊田市に本拠のあるCAAではさすがにトヨタの状態のいい普通車に対しては高めの落札価格水準があるため、トヨタ系買取会社T-UPほどではないにしろその他の買取業者よりは高い査定を得られる可能性もあります。

まとめ

アップルの買取査定についていくつかデメリットをお伝えしましたが、現在進行中の全国のアップルが買取した、直販用の車両情報を検索できる「アップルフラッグ」。

代金の一部を数年先に据え置いて、月々の支払額を低く設定できる残価設定型の中古車ローンである「アップルドリカムプラン」などが功を奏し、買取車の直販販売台数が伸びてくれば、それらが解消されていく可能性も大きくなります。

更なる今後の成長に期待したいところですが、対抗他社も海外進出を強める傾向にあるので、アップルとしてはさらなる企業努力を進める必要があるのが、現在の中古車買取業界の状況といえるでしょう。