人を見ればその査定額が見えてくる!
前回の店選びに続いて、実際に査定するのもプロとはいえ人の子なので、その査定士選び編をやってきますが、これには店選びよりもっと細かく、判別が難しいチェックポイントがあります。
筆者個人の経験と、知識による独断もかなり絡んできますが、車査定の大きなキーマンである査定担当者の選び方によって、その査定額も大きく変わってくる可能性があるので、ぜひ参考にしてください。
目次
転売型の買取専門店に有効!
前回紹介した店選びは、主に直販型の車屋さんに対応していますが、今回の人選びはその店舗間で統一した「買取マニュアル」を持っている、買取専門業者を選択するときに役立ってきます。
出張査定の時は特に要チェック
買取査定の時、店舗に赴いて査定する時と自宅まで出張してもらって査定してもらうケースの2つがあります。
店舗での査定については、前回紹介した店選びのポイントが通用してくるときも多いのですが、出張買取の時の方がチェックすべきポイントが明確で、より気を付ける必要が出てきます。
なぜなら、出張買取に来る担当者は基本的に一人、店構えや雰囲気をうかがい知ることもできないので、その担当者からしか買取店の特徴などがチェックできないからです。
当たり前ですが身なり…
出張買取に来る担当者は「査定専任」の場合がほとんど、中古車屋さんなどにいる査定士はメカニックや車の管理などを兼任していることが多いので、つなぎを着て油や塗料にまみれることがありますが、出張査定担当者はその必要がない。
出張査定は、訪問する時間などのアポをあらかじめとっているので準備ができるはず、よってスーツを身にまとい、髪形やひげなどもきちんとしているのが基本。
それらがザンバラだったり、服装がきちんとしていない担当者をよこす買取店は、それが大手のチェーンであっても眉に唾をつけてみたほうがいいでしょう。
ここで忘れてはいけないのが、買取大手で全国にフランチャイズ展開している名前の売れた買取店でも、加盟している企業によってその買取方針や経営状態が異なること。
経営が厳しく、買取先任者を多く雇えない場合やその質にこだわれない業者もいて、きちんとした身なりやトーク術など、当たり前のビジネスマナーを教育しきれていない場合があります。
身なりとマナーのいい買取担当者を派遣した店は、ある程度経営が安定していてその査定額も大きく相場を外すようなことが無いとまず判断でき、ちょっと薄汚れた担当者しか派遣できない店はその査定額もちょっと期待できないので、最初に良くチェックするようにしましょう。
夜にやってくる出張査定担当者の真実
出張査定を依頼するとき是非ともやってみてほしいのが、夜間しか在宅してなくて暗くなってからの査定しかできない旨を伝えること。
2つ返事ですぐにそれに応じてくる場合は、少し注意しなければいけないことがあります。
おそらくこの時点ですでに、査定してもらう車両の年式や車種、走行距離など査定の基本となる情報は伝えていると思うので、業者側はある程度基本となる査定金額ははじき出しているでしょう。
ですので、夜間出張査定に来る査定担当者が確認するのは、事故歴の有無の真相や大きな傷・へこみ、内装の状態とその車体が教えられた情報と一致しているかなど、数十分あれば確認できる点だけ、これについてはそれほど長い経験や知識が無い査定担当者でも可能です。
ですが、大きな傷やへこみはともかく、細かい洗車キズやカラーリングのくすみなどは、夜日が暮れ暗くなると、その確認が非常に難しくなります。
にも拘らず、夜間の出張買取に応じるということは、経験の浅い担当者の確認だけでそれらを確認しなくても査定金額を出せるということ。
「細かい小キズなどが見つからないなら好都合なんじゃないの?」そうです、その通り確かにマイナスされる要素が減ることになるわけですが、そんなこと業者は十分わかっています。
つまり、夜間でも査定にやってくるということは、既にある程度の小キズや塗装面のくすみなどを「あらかじめ」刷り込んだうえで査定に来ているのです。
要するに、前もってある程度「マイナス」した買取額をもとにして査定していくわけですから、小キズなどが入っている車の場合はイイですが、普段から洗車などメンテナンスに気を使い、愛車の美しさに自信のある方は夜間での出張査定を受けてはいけません。
高級セダンやブラックカラーの車体は、特に外装の美しさが査定に影響する度合いが大きいので、「店選び」に当たるかもしれませんが、夜間の出張査定を喜んで引き受ける買取店、並びにやってくる経験の浅い担当者は避けたほうがいいでしょう。
なんで夜に査定するねん!
ちょっと独り言、大手の買取専門店はCMで、「あなたの車、他店より1円でも高く買い取ります!」なんて言っていますが、夜間の出張査定では「年式の割に発色がいい!」とか、「傷の入りやすいカラーなのにきれいに保たれている!」など、そんなに多くない他店よりプラス査定できる要素を見つけることなんてまず不可能。
本当に高く買い取る意思があるなら、そもそもなぜ夜間に車体の確認に来れるのか、筆者にしたら謎でしかありません。
買取査定担当者の立場の違い
これがいっぱいなんです!は本当?
出張査定を受けて、担当者がよく言うセリフは「上に今確認してくるのでお待ちください」ですが、この時査定担当者がやっているのは買取大手チェーンの場合は、フランチャイズ本部や加盟業者の本社などにある査定額を決定する部門に、確認した情報や気になる大きな傷、へこみなどを撮影した画像を送ることです。
そして、返ってきた査定金額を顧客に伝える役目を担当者は担っていて、彼自身に買取価格を決定する権利は「1mm」もないケースが多く、「これがいっぱい」は結構本当。
一方、中小規模の買取店や中古車店などに査定を依頼した場合、出張査定に対応しているところは少ないですが、やってきた担当者並びに店舗で車を査定する人間は、その店の中で店長や経営者自身など経験と知識、さらに査定額決定権をある程度持っている場合が多くなりますので、「これがいっぱい」を信じちゃいけません。
駆け引きが通用するのはもちろん後者、前者に対して駆け引きをしても、フランチャイズ本部や店に待機している上司の決定した、最高査定額を上回る可能性は限りなくゼロに近い。
できるのは、本部や店が決定した査定額を下回る額を「必ず」担当者は言っているので、そのぎりぎりまでを引き出す駆け引きで、「これがいっぱい」という担当者のセリフを引き出すのが、査定交渉の着地点となります。
反対に中小規模の買取店に査定依頼した時は、相手が査定金額の決定者であることが多いので、買取査定額の変動が激しいスポーツカーや輸入車種を売却するときは、この決定権のある査定担当者とじっくり腰を据えて交渉したほうがいいでしょう。
査定担当者に決定権があるかどうかを判別する方法は、名刺や名札などや素直に聞いてみることで、その地位を確認するのが一番手っ取り早い。
名刺や名札に「買取担当」や「査定担当」などとしかない時や、「主任」などという中途半端な肩書の時は「決定権無し」と考えていいでしょう。
一方、「代表」や「店長」という肩書がある場合は「決定権有り」なので、査定交渉を頑張りたい方は人選びにおいてこの肩書のチェックも必須です。
ガリバー系は難敵が多い
名指しして申し訳ない気持ちでいっぱいですが(本当?)中古車買取店のドン、ガリバーさんの査定担当者は、他のチェーンや中古車店の査定担当者とちょっと訳が違います。
長く車業界にいて経験も豊富、その買取台数の多さに裏打ちされたトーク術と交渉能力を持っているので、車を始めて売るという方や女性、年配の方は言いくるめられる(褒めてます)可能性があります。
ガリバーに依頼すると、査定額引き上げ交渉が非常に困難な「海千山千」の担当者がやってくることを覚悟しなくてはならず、近年そのガリバーに肉薄する買取実績を出してきているビックモーターさんにも、ガリバーの査定担当出身者がたくさんいますので、これも「人選び」のポイントの1つに挙げられます。
ただこの2社は、その中古車の販売実績も非常によく、前回紹介した直販型の店選びのポイントもクリアしているため、他の買取専門業者よりそもそもの査定相場が高い。
査定作業も早くその後の手続きや支払いなどもスムーズ、キチンとした態度や言葉使いと身なりで、清潔感や安心感もある担当者が多いので、それほど価格交渉にこだわりのない方は彼らを選ぶといいでしょう。
まとめ
最後は売り手の感じ方になってしまいますが、せっかく車を売るなら気持ちよく売りたいのが心情。
決定権の有無にかかわらず、査定ポイントをチェックする査定担当者の身なりやマナーなどをチェックすることは、後々のトラブルを防ぐことにもつながるので、この人選びを店選びと並行して行うようにするといいでしょう。