車を維持していくときには自動車税や重量税などが必要で、購入時には取得税などもかかってきます。

それを節約できるのがエコカー減税ですがその仕組みは複雑で非常に分かりにくいものになっています。

なぜ今「エコカー」が推奨されているのか

地球温暖化が深刻化しています。地球に届いた光の熱はその一部が地表や海面で跳ね返り、本来は再度宇宙空間に放出されます。

しかし、一部の気体にはそれを捕まえて離さずこの放熱作用を妨害して、地球がまるで温室のように高い温度で保たれる状態にしてしまうものがあります。

オゾン層の破壊にもつながるとしてその使用が強く規制されたフロンや、その最大の排出先はなんと「牛のゲップ」だとされているメタン。

そして、工場の排ガスや自動車の排気、更にわれわれ人間の呼気に含まれている二酸化炭素などがそれで、総合して「温室効果ガス」と呼ばれています。

規制が大きく進んだフロンには代用品があるうえ、牛のゲップを減らすのも大変なため末子気に手を付けようと各国がそれぞれ基準を設けて動き出しているのが自動車の排ガス規制です。

燃費基準の達成でその減額幅が決まるエコカー減税と排ガスとの関係は単純に使うガソリンが減ればその排出ガスも減るという言ってみればひどく単純な話です。

二酸化炭素の排出を抑え地球に大きな悪影響を与える温暖化の防止、それを実現するために生み出されるハイブリット車や低燃費車の普及を促進するためにこのエコカー減税があり、その財政用途も環境の保護などを中心になされています。

化石燃料の限界

化石燃料
温暖化の別にガソリンや軽油の原料である石油の埋蔵量が年々目減り、早ければ半世紀ともいわれています。

これについて、実は石油の埋蔵量は年々増加していて今のまま算出し続けても尽きることはないという楽観的な意見もありますが、この日本にとっても重要なエネルギーを国内で全くと言っていいほど自給できないことがまず問題です。

いつまた70年代のオイルショック時のような状況になるとも知れないことから、日本では海外に比べ電気自動車やハイブリット、水素やソーラーなど次世代エネルギー源を利用する車が開発普及。

そして、それをさらに加速するためのエコカー減税制度が敷かれているのもこれが原因の1つです。

エコカー減税の種類と仕組み

実はそろそろ仕組みが変わります。この記事を執筆しているのは2017年3月頭ですが、自動車税と取得税は2017年3月末までに新車を購入する場合に、重量税は同年4月末までに新車登録及び初回の車検を受ける場合には「旧制」とあえて表現しますが2015年から設置されているものが適用されます。

しかし、2017年4月以降に新車を購入するケースと、同年5月以降に登録及び初回の車検をするときは2007年4月1日変更される「新制」エコカー減税が適用されることとなります。

そして皆さんがこの記事をいつ読まれるかはわかりませんが、すでにタイムリミットが迫っている旧制について説明しても役に立たない場合がありますので、ここでは新制エコカー減税についてみていきたいと思います。

変わらない事

対象となる車種がハイブリットや電気自動車、クリーンディーゼル車など排ガスや燃費について環境保護に役立つ車種であることに何ら変わりはありません。

ガソリンを全く使用しない電気自動車や、極端に燃費の良いプラグインハイブリットカーに関してはほぼその減税幅は変わりません。

ですが、それ以外のハイブリットカーや低燃費車などの減税に関わる燃費基準についてはかなり厳しく変更されているようです。

2017年4月1日からの変更点

今回の改正で、期限が迫っていた減税の適用期間がそれぞれ2年ずつ延長されますが、その他にもいくつか事実上の減税幅と対象車の減少につながるポイントがあります。

まず、2017年3月末までの旧制度では完全非課税だった、平成20年度燃費基準を20%以上オーバーしている車種の重量税が75%の減税になり、翌年の2018年春からは30%以上オーバーしている車種も同じく75%の減税に。

平成15年の燃費基準オーバー車種に至っては、今まで25%の減税幅だった5%以上オーバー車種は減税なし、10%以上オーバー車種も2018年春からは減税なしとなります。

また、一定の燃費基準をクリアーした自動車税や軽自動車を軽減する通称「グリーン化特例」も、これまであった平成15年度の燃費機基準オーバー車種への適用がなくなり、平成20年度の基準を10%以上上回らないと減税されないように変更される予定です。

さらに、一回こっきり支払う義務がある取得税もその廃止が盛り込まれていたはずが、その根拠となる消費税の10%増税が延期されたことで継続、こちらも平成20年度の燃費基準をクリアーしないと減税対象にならなくなりました。

これによって、エコカー減税の対象となる新車は半分から7割程度にまで減ってしまう結果になります。

ケース別減額幅

すべての基準をクリアーしている場合、例えば日産リーフのように完全に燃料を使わない車と、より厳しくなった平成32年度の燃費基準を40%以上クリアーする車種の場合は、取得税並びに新車登録時と初回継続車検時の重量税が免除されます。

この平成32年度の燃費基準がいかに厳しいかというと、新型プリウスでもやっと20%オーバーほとんどの車種でぎりぎり基準をクリアーしている程度です。

しかしこれも2018年からはさらに厳しくなり、2回分の重量税を免除されるには基準を50%以上オーバーしなければならず、事実上ほぼ電気自動車のみがその恩恵を被ることとなっています。

仮に今年4月時点で新車価格が280万円のリーフを購入し、その登録が4月中に間に合った場合、

  • 84,000円かかるはずの取得税
  • 翌年課税されるはずの1,000cc普通車相当とされている29,500円の自動車税
  • 新車登録時と初回車検の2回課せられる合計61,500円の重量税

がすべて免除となり、その合計金額は17万5,000円にもなります。

古い中古車などで全く基準を満たしていない場合

一方、時代を逆行する燃費の悪い低年式の中古車に対する税制は、かなり厳しくなってきています。

エコカー減税の適用どころか、重量税と自動車税に関してはある一定の年数を経過した「燃費と環境への配慮がされていない車体に関しては上乗せ課税されることも。

具体的には、ガソリン車では13年、ディーゼルでは10年を過ぎた中古車の自動車税はおおむね15%重い税金が課せられます。

また、重量税もこれは同様で軽・普通車ともに13年と18年の2度にわたってそれを越えると割り増しした税金が課せられます。

上記で紹介したリーフと同等の大きさの普通車なら、2年の継続車検のとき13年経過で34,200円、18年経過で37,800円となりエコカーとの税負担の開きはさらに膨らむこととなります。

要するに買い替えを推奨する制度です

ここまでを総合すると少々うがった見方になりますが、古くて排ガスをまき散らし燃費も悪い車に乗っている方は、年々厳しくなる燃費基準に対応した車種に、「できるだけ乗り換えてくださいね?」。

そして、乗り換えないならいっぱい税金を払って「環境対策に役立ちましょう!」、というのが狙いという訳です。

まとめ

古い中古車に乗り続けるか様々な優遇措置が取られ、その低燃費から日頃の燃料代の節約にもなるエコカーに乗り換えるか、その選択は自由です。

ただ、どちらを選択しても空ぶかしやむだなアイドリングで空気を汚すような運転は避け、急発進やスピードの出しすぎなど事故にもつながりかねない燃費を下げる運転などをしないのが、我々に共通する「車を乗るときのマナー」なのではないでしょうか。